
こちらの記事でご紹介した9歳のうさぎさん。記事内にも記載しましたが、ある日突然斜頸(しゃけい)、すなわちエンセファリトゾーン症を発症しました。
初期症状があまりにも酷かったもので、本当にかわいそうでなりませんでした。完治するだろうか?と不安な日々を過ごしました。
そしてうさぎさんが一生懸命がんばった結果、約1か月の闘病の末、完治するまでにいたったのです。同じくうさぎさんがエンセファリトゾーン症を発症してしまい不安に思う飼い主さんへ、少しでも励みになればと思い、その時の経験についてご紹介したいと思います。
めまいの動画も載せますので、合わせて観てみてください。※症状が落ち着いてから撮影したため、ショッキングな映像はありませんのでご安心ください。
(余談ですが、筆者は斜頸のことをずっと傾斜"けいしゃ"と勘違いしておりました。正しくは"しゃけい"だそうです。)
目次
1.初期症状
ある日の日曜日。その日は台風が来るというニュースが流れていました。
9歳のうさぎさんは、いつも通りお気に入りの場所に座ってすやすや寝ていました。昼過ぎになり、新しく購入したおやつをあげようと呼びかけると、
🐰「ふああ~あ、あれ??」
伸びをしながらあくびをした後に、ふらっとよろついたのです。
よろついたのはこれが初めてではありませんでした。1年ほど前、後ろ足で毛づくろいをしているときによろけて、病院に行ったことがありました。その際は、明らかな症状がなく斜頸と診断されませんでしたが、そのときの先生の言葉を思い出しました。

よろけて「本人が驚いた」でしょう。それって飼い主さんも印象に残っているでしょ。もしまたそういったことがあったらすぐに連れてきてください。
高齢うさぎさんではありますが、これまでよろついたことはこの一度きりでした。今回も本人は目を丸くして、ビックリしたような顔をしたため、もしや・・・・と思いました。
そしてうさぎさんを抱っこすると、目がぐるぐると動いていたのです。筆者もめまい症を引き起こしたことがあるのですが、それと似ていて、眼球が動いてしまうのです。そして、首が赤べこのように揺れ始めました。
症状が落ち着いてから撮影した動画ですが、そのときのイメージに近いものをご紹介します。(※発症時は動揺して撮影している場合ではありませんでした)

病院に行く支度をしているうちに、症状はみるみる悪化していきました。右に旋回をし始めたのです。どのような症状かというと、よくバラエティで見かける「頭をバットにつけて回転して、めまいを起こしたあとにまっすぐ歩けるか」もしくは「犬ちゃんが自分のしっぽを追いかけて旋回する」あれに近いイメージです。
このとき、きっと「斜頸だ」と思ったのです。
車に乗せている間も症状は悪化していきました。身体を固定していたため、顔だけが右側に旋回してはまた中央にもどり、また右側に旋回して・・を繰り返していました。
まとめると、初期症状については以下の順番で発生しました。
ふらつく、よろける
めまいが起きる
首が揺れる
右(片方)にぐるぐると旋回する
食欲が落ちる
2.発症~治療まで
病院に行くと、やはりエンセファリトゾーン症であると診断されました。

台風の影響かもしれませんね。。。治療は4週間です。がんばりましょう!
気圧の変化で体調を悪くするうさぎさんが多いそうです。台風が迫っていましたから、もしかすると今回の発症と関係があるのかもしれませんね。
治療期間は、早くて2週間、長くても4週間かかるとのこと。もしかするとそれ以上かかる可能性もあるということも説明されました。お医者さんではエンセファリトゾーン症の薬を注射し、皮下点滴をしてもらいました。このお薬での処置が早ければ早いほどよいとのことで、今回気が付くのが早くて良かったと言われました。
さてそもそもエンセファリトゾーン症とはどういう病気なのでしょうか?アリス動物病院様のHPで以下の様にわかりやすく説明されていたためご紹介します。
ウサギのエンセファリトゾーン症
エンセファリトゾーンは、何か?というと細胞の中に寄生する「原虫」という寄生虫の一種です。エンセファリトゾーン症は、この寄生虫による感染で起こる脳炎です。哺乳類に広く感染しますが、うさぎ🐰への寄生が最も多いです。
通常は無症状ですが、ストレスなどで免疫力が落ちると発症し、エンセファリトゾーンの増殖により、寄生部位の脳、眼、腎臓で症状をひきおこします。
出典:アリス動物病院のブログ (alice-hosp.com)
人間ではあまり考えにくいですが、エンセファリトゾーンという寄生虫による病気なのですね。これを知ったとき、この虫が憎くて憎くてたまりませんでした。
お薬としてこいつを駆除するための「駆虫剤」というものと消炎剤を混ぜたものを2週間分貰って、様子をみることにしました。薬を飲めば時期に落ち着いてくるようですが、「よくならないとか、悪化するようであればすぐに来てください」とも説明がありました。
3.治療開始から2週間後
9歳のうさぎさんは、頑張って薬を飲んでくれましたが、残念ながら2週間では完治するまでには至りませんでした。めまいや身体がぐるぐる回るほどの旋回はなくなったものの、眠っている間に首がかってに右に動いてしまったり、よろけてしまってうまく毛づくろいができないようでした。
そして治療を開始してから2週間後、ふたたび動物病院に行きました。先生がうさぎさんのまぶたをめくると、目がぐるぐる動きました。先生曰く、「緊張しているから」だそう。
この日は注射も皮下点滴もありませんでした。引き続きお薬を2週間分もらって、4週間後によくならないようであれば、再度お医者さんに来てくださいとのことでした。
4.治癒、そして1か月後の様子
薬を飲むこと4週間。だんだんと症状は回復していき、そしてついに、いつものうさぎさんに戻ってくれたのです。下は、治療が終わって約1か月後のうさぎさんの様子です。

ごめん。もみじ邪魔だね。ごめん。でも治って本当に良かった。
ふらつきや、頭の揺れが無くなりました。とはいえ高齢うさぎさんだからかもしれませんが、足腰は発症前より弱ってしまったようで、毛づくろいがうまくできなくなってしまったようでした。しかし、あのにっくき寄生虫を抑え込み、もとのうさぎさんが無事に帰ってきてくれただけで、本当に安心しました。
4週間分の薬が終わったときには再発してしまわないかと心配でしたが、こちらも杞憂であったようで、お医者さんに行くことはありませんでした。
しかし、またいつか気圧の変化が激しいときなどに、発症してしまう可能性があるかもしれません。うさぎさんのささいな変化を見逃さないように、声掛けや健康チェックを日々続けています。
ちなみに今回、粉末のお薬をいただいてうさぎさんに飲ませていたのですが、粉末タイプは本当に難易度が高いです。こちらの記事でどうしても飲んでくれない場合の対処方法についてご紹介しているため、よろしければ参考にしてみてくださいね。
5.治療費について

上の写真は2週間分のお薬の費用です。治療は4週間、2回通院して約1,5000円ほどです。筆者は保険に加入していないため実費ですが、2万円はかからないかと考えます。保険に入られている方は、適用範囲かと思いますので保険会社様にお問い合わせくださいね。
6.最後に
今回は9歳のうさぎさんがエンセファリトゾーン症を完治させたお話をご紹介しました。はじめてこの症状を見た時はショックでしたが、うさぎさんのがんばりもあり、なんとか治すことができたのです。
もし斜頸で困っている飼い主さんがいらっしゃいましたら、少しでも励みになれば幸いです。完治したというご報告もおまちしております!